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三井 隆也
KURRI-TR-425, p.108 - 121, 1997/08
放射光によりパルス的に核励起された散乱体から放射される核共鳴散乱線は電子散乱によるX線に比較して極めて長い時間コヒーレンスを有するので、崩壊中に散乱体に生じる超微細場・原子の微小な振動に極めて敏感に応答し、強度、位相、偏光に変化が生じる。特にFeを含む強磁性体、反強磁性体を散乱体に利用し、この散乱体に変動磁界を印加すると、通常のX線では起こらない磁気的な位相変調効果が核共鳴散乱線に生じる。この現象を利用すれば、磁場変調タイプのX線干渉実験が可能になる。本発表では、これまで行ってきた実験を紹介し、核共鳴線にどのような位相変調が与えられることが可能か、応用実験としてどのようなことが可能になるか議論する。
佐藤 好毅; 元井 操一郎*
J Mater.Sci., 19, p.1749 - 1759, 1984/00
被引用回数:5 パーセンタイル:40.19(Materials Science, Multidisciplinary)SiNは核的および工業的分野で広い応用面をもつ物質として近年頓に注目されている。この物質の物理化学的性質は微量の鉄の存在によって大きく左右される。この鉄の状態については前に報告したが、なお未解決の問題が残されており、また、この物質の熱処理及び放射線照射による格子欠陥の研究は今日まで殆んど行なわれていない。そこで改めて種々の条件下でメスバウアー効果の測定を行った。その結果、鉄は結晶中で3価の他に2価としても存在すること、それらのスペクトルは顕著な時効を示し、高温加熱および線照射にたいしてある臨界値で急激に変化すること、この臨界値は鉄の含有量によって変ること、鉄の含有量の多いSiNほど耐熱性、耐放射線性が著しく増加することが見出された。これらの事実はSi空孔の生成消滅とSi-N結合の破断と回復とによって説明される。また、鉄を再度ドープしたとき、ドープ前の鉄の状態に対応して異なる合金、イオン、鉄微粒子が結晶内外に形成されることが観測された。
元井 操一郎*; 佐藤 好毅
電気化学および工業物理化学, 49(11), p.728 - 730, 1981/00
近年のキャスタブル耐火物として注目されているアルミナセメントの代表的な製造方法に溶融法と焼成法とがある。 ところで、これらの方法でつくられたアルミナセメントの物性に大きな影響をおよぼすことが予想される鉄イオンの状態については全く知られていない。そこで、メスバウアー効果および色調の温度依存性を調べ、つぎのような結論を得た。 溶融法によるアルミナセメント中の鉄イオンは、S=0の2価の状態にあり、一方、焼成法によるものではS=1/2の3価の状態にある。且つ、これらの鉄イオンはそれぞれ立方および非立方対称の配位子場にあり、いづれの場合にも配位子の立体的構造には可成り乱れがある。
佐藤 好毅
Physica Status Solidi (B), 82, p.611 - 616, 1977/00
被引用回数:4放射線計測の分野でよく利用され、且つUOと同系のCaF中の不純物の挙動および放射線損傷を結晶に導入したCoのメスバウアー効果によって調べた。未照射の結晶ではスペクトルは3本からなり、これらの温度依存性を理論的に解析し、Coが崩壊してできたFeは2価のイオンとして正格子点および1個の正空孔をともなって格子間に入ることが結論される。線を照射すると新しく1本の線が観測され、その強度は照射量と共に直線的に増加する。これは線によって上述の正空孔の一部がCaでうめられる結果としてよく説明される。線照射後の結晶を高温で焼鈍するとスペクトルは2本だけとなる。これはすべてのFeが格子間に入り隣り合う2個の正空孔をともなった結果であることが理論解析との一致から結論される。
吉田 博之; 米澤 仲四郎
分析化学, 20(8), p.970 - 974, 1971/00
メスバウアー効果を用いる銅-スズ合金中のスズの化学状態の非破壊分析法について検討した.メスバウアースペクトロメーターは定速度方式により,10mm/secの速度範囲を400チャソネルパルスハイトアナライザーのタイムモードに接続して測定した.酸化スズ(IV)を試料にして線のエネルギー範囲,線源-試料-検出器間の距離,スズの濃度などのスペクトルのパラメーターヘの影響を検討した.ついでオキシン抽出吸光光度法によりスズの化学状態を分析した銅-スズ合金についてメスバウアースペクトルを室温および液体窒素温度で測定した.異性体シフト,四極子分裂の値などから,スズは金属スズと酸化スズ(IV)の状態で存在していることを確認した.